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ユーラシア経済連合(関税同盟)の認証制度

目次

1.2010年から始まった認証制度の統一

2015年1月1日、ベラルーシ、カザフスタン、ロシア三国による2010年から関税同盟(Custom Union,CU)からの発展形として、ユーラシア経済連合(EEU, Eurasian Economic Union, Евразийский Экономический Союз)が発足しました。現在加盟国はアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、ロシアの4国ですが、今後も旧CIS諸国でその領域の拡大の可能性が見込まれます。

経済統合プロセスの一環として、その前身である関税同盟の国際条約「ベラルーシ共和国、カザフスタン共和国、ロシア連邦の技術規制の統一原則と規則に関する合意」(2010年11月18日調印、2012年1月1日発効)により連合内で流通する製品に対する規制(認証制度)の統一化が図られ、現在32の関税同盟技術規則が採択され、そのうち29がすでに発効しています。(別表1 関税同盟技術規則リスト

ユーラシア経済連合(関税同盟)の認証制度(以下、EAC認証)が導入される以前に加盟国の国内法で規定されていた認証制度に基づいて必要な証明書を取得し、流通している製品に対しては、新しい統一認証制度への移行期間が製品の複雑さや製造者への負担具合を考慮した日数で定められています。
また、施行後もモニタリング、パブリックコメント、各種セミナー等で得られた利害関係者からの意見を考慮し、適宜改定が行われています。
また、これまで各国には存在しなかった新しい分野の規制(省エネ、環境破壊物質に対する規制など)も今後増えることが予想されます。

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2.技術規則とは

ロシア国内では、旧ソ連時代から、GOST認証が行われてきました。製品を出荷するためには、国家規格(GOST)に製品が適合しているかを証明する書類を取得する必要がありました。しかし、ソ連崩壊後、制度のあいまいさが問題視され、ロシア国内で認証制度の見直しが図られました。その皮切りとして2002年12月27日「技術規制に関する連邦法」が制定されました。これにより、製品の安全性を製造者が証明する手段として、規格と技術規則が明確に定義づけされました。

規格には、国家規格、業界団体認定規格、社内規格などいろいろな種類がありますが、原則として、製品を製造する際になんらかの規格を適用するかしないか、はあくまで製造者の裁量(任意)によります(自主認証)。

一方、技術規則は消費者への安全性が特に重視される製品に対して、義務的に満たさなければならない一定の安全基準(義務的要求事項)を定めており、技術規則の対象となっている製品の製造者は、義務的要求事項に製品を適合させなければなりません(強制認証)。

ここで、規格と技術規則の関連性ですが、通常、技術規則が採択されると同時に、規格リストが採択されます。この規格リストに含まれる規格に従って製品を製造した場合に、技術規則に適合しているとみなされます。製造時に何らかの規格を適用していなくても、技術規則に規定された手続きに則った適合確認手続きを経て、製品の安全性が確認された場合も、当然、技術規則に適合しているとみなされます。ただし、技術規則内に記載されている義務的要求事項は、抽象的なものも多く、特に機械類に関しては、規格リストに含まれる規格を適用して製造をすることになるでしょう。

この考え方を踏襲し、「ベラルーシ共和国、カザフスタン共和国、ロシア連邦の技術規制の統一原則と規則に関する合意」に基づいた技術規則第1弾として2011年7月15日に≪鉄道施設の安全に関する技術規則≫(TR CU 001/2011)、≪高速鉄道施設の安全に関する技術規則≫(TR CU 002/2011)、≪鉄道輸送インフラの安全に関する技術規則≫(TR CU 003/2011)が、関税同盟委員会(現ユーラシア経済委員会)によって承認されました。以降、毎年新たに関税同盟技術規則が採択され、次々と施行されています。

つまり、技術規則にはロシア国内レベルのものと関税同盟(ユーラシア経済連合)レベルのものがあるということで、前者に基づいた認証が俗にいうTR認証、後者がEAC認証です。

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3.3つの制度が混在する現状

しかし、もともとGOST認証制度の下で強制的に証明書の取得が義務付けられていた製品で、まだTR認証やEAC認証への移行が完了していないものも依然として存在します。そこで、ロシア政府は2009年12月1日に、「適合証明書および適合申告書の取得が義務である製品のリスト(政令No.982)」を承認し、このリストに含まれる製品については、GOST制度に基づく証明書の取得が義務付けられます。このリストはTR CUが発効するごとに項目が削除され、現在はかなり短いリストになっています。

GOST認証、TR認証による証明書に関してはロシア国内でのみ有効、EAC認証による証明書に関してはEAC加盟国内すべてで有効ですので、加盟国のどこかで一度とってしまえば、その有効期間中は残りすべての国で再度取り直す必要はありません。
ロシア国内に関していえば、現時点ですべての認証制度が存在しており、製品をロシア市場に出荷しようとした場合、まずはTR CUで該当するかどうかを確認、該当しなければTRで確認、それでも該当しなければNo.982のリストで確認、という手順を踏まなければなりません。(ただし、医療機器のように他の法律で定められているものもあります)。

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4.GOSTとは

GOSTというのは、「GOsudarstvenny STandart, Государственный стандарт(国家規格)」の略であり、「GOST=ロシアの国内規格」ではありません。1996年以降、GOSTの開発、改定などを行うのは、「規格化・度量衡・認証に関する国際会議」であり、この会議のメンバーであるアゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシ、グルジア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ウクライナにおいて共通の規格となります。(2014年末にウクライナについては同会議の脱退を表明しています)

「規格化・度量衡・認証に関する国際会議」の加盟国においては、公的性質を持つ規格を、3つの種類にわけることができます。ISO、IECなどの国際規格、共通規格(GOST)、及び国内規格(STB(ベラルーシ)、ST KR(カザフスタン)、GOST-R(ロシア)など)です。技術規則と同時に採択される規格リストには、この3種類が混在します。

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5.関税同盟技術規則に基づく証明書

技術規則では、適合を証明する書類として、適合証明書と適合申告書を規定しています。製品によってはさらに国家登録証明書や車両型式認可証、船級証明書などの取得も要求されていますが、ここでは、適合証明書と適合申告書についてのみ説明します。

適合申告書、証明書ともに、申請者となれるのはアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、ロシアのいずれかにおいて登記された法人(又は)個人事業主のみです。外国メーカーは「製造者」の欄にその記載がされます。

適合申告書と適合証明書のどちらが必要なのかは、各技術規則に規定されていますが、あいまいな定義(例、≪機械及び設備に関する技術規則≫)もあるので、該当分野の認定を受けている認証機関に確認をするといいでしょう(当サイトのデータベースでも確認できます)。

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6.適合申告書

適合申告書は、自己証明または第三者機関による証明に基づき、申請者自らが、安全性を宣言するという形式で作成される文書です。適合申告書を作成するのは申請者であり、認証機関は申告書及び添付書類を確認し、データベースに登録をするだけです。一部の認証機関で、適合申告書の作成をしているところがありますが、あくまで独自に展開するサービスの一環であり、内容に不備や偽りがあっても認証機関は行政的な責任を負いません(申請者と認証機関の契約の範囲での民事的な責任は負うことになると思いますが)。また、添付書類に認定ラボでの試験レポートが含まれており、製品のサンプル試験は必須です。

1)手続きの流れ

典型的な申告スキームとして1dから6dまでのパターン(別表)があり、各技術規則でそれぞれ選択可能なスキームが明記されています。申告スキームは申請者自らが選択します。

基本的な流れは、次のようになります。

  • 必要書類を準備する。
  • 製造者は生産管理を実施する。
  • 認定ラボで試験をする。
  • 認証機関において申告をし、申告書の登録をする。

2)必要書類 適合申告に必要な書類は、製品ごとに各技術規則の中で明記されています。たとえば、≪機械及び設備の安全に関する技術規則≫の必要提出書類は、次のようになっています。

  • セーフィティー・ジャスティフィケーション(安全根拠書)
  • オペレーション・マニュアル
  • 売買契約書又はインボイス(ロット・単品製品の場合)
    ※ セーフティー・ジャスティフィケーション、並びにオペレーション・マニュアルは、作成基準となる国家規格があり、その中で必要記載事項、形式などが記載されています。
  • 仕様書(注文生産等で、存在する場合)
  • 規格リスト(何らかの規格を適用して、製造した場合に、その規格の名称リスト)
  • 品質マネジメントシステム証明書(ISOを取得している場合)
  • 試験データ(事前に何らかの試験を実施している場合)
  • 認定試験ラボでの試験レポート(ある場合)
  • 材料や部品の適合証明書又はテストレポート(ある場合)
  • 海外の認証機関によって発行された証明書
  • その他、間接的または直接的に製品の安全を証明する書類

3)有効期限

適合申告書の有効期限は最長で5年です。ロットの場合は、ロット番号が申告書に記載されますので、有効期限はありません。

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7.適合証明書

一方、適合証明書は、第三者機関、つまり認証機関による証明であり、サンプル試験、工場監査を経て、認証官が安全性を確認した結果として、適合証明書が認証機関より発行されます。エンドユーザーが一般消費者であるもので、安全性が確保されていない場合に消費者に深刻な影響を与えると思われる製品に対して、適合証明書の取得が義務付けられています。

1)手続きの流れ

典型的な認証スキームとして1cから9cまでのパターン(別表)があり、各技術規則でそれぞれ選択可能なスキームが明記されています。認証スキームは申請者自らが選択します。

基本的な流れは、次のようになります。

  • 適合証明実施申請書を認定認証機関に提出する。
  • 認証機関が、申請内容を精査し、実施可否について判断する。
  • 認証機関が、認定試験ラボにサンプル試験を依頼、実施。
  • 工場初期監査(品質マネジメントシステム証明書がない場合)
  • 試験結果、初期検査結果を総合して、問題がない場合、適合証明書を申請者に発行。
  • 証明書の有効期間中、定期的に監査を実施。

2)必要書類 適合証明に必要な書類は、認証機関への適合証明実施申請書の中に記載する必要事項と合わせて、製品ごとに各技術規則の中で明記されています。

3) 有効期限

適合証明書の有効期限は最長で5年です。ロットの場合は、ロット番号が申告書に記載されますので、有効期限はありません。

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8.認証にまつわる問題

適合証明書、適合申告書、どちらも製品の安全性を証明する重要な書類であり、しかるべき手続きに則って作成するべきものです。しかし、残念ながら、書類大国であった旧ソ連の流れをくんだCIS諸国では、「書類を買う」文化があり、面倒な手続きをお金で解決する悪しき風習があるのもまた事実です。認定試験ラボ及び認定認証機関リストに含まれる機関が、このような行動をとることはありませんが、認定試験ラボ及び認定認証機関と製造者の間に存在する仲介業者がこのようなことを行う事例が多々あります。

たとえば、EAC認証において、製品サンプル試験は適合証明、適合申告ともに、法定された必須手続きであり、書類保管義務がある認証機関が率先して「テストレポートはいらない」ということはありえません。なぜなら、試験を行うのはあくまで認定試験ラボであり、両者は独立した機関です。テストレポートが「買われた」ものなのか、実際に試験をして作成されたものなのか認証機関が調査することはありません。また、試験免除の交渉をする場合もテストレポートを発行するのは試験ラボなので、欧州認証によって得られた証明書のカバー力、自主認証の有効性を申請者が主張しなければならない相手は、試験ラボです。

EAC認証が行える認証機関は、2015年2月現在で、ベラルーシで49、カザフスタンで75、ロシアで758あります。そのすべてが全カテゴリーの製品の認証が行えるわけではなく、専門に応じ限定された範囲で業務を行っています。GOST認証を行っていたところが、そのままEAC認証を行える認証機関になるわけではなく、EAC認証の認証機関として新たに認定を受けなければなりません。認定するにふさわしい、それぞれの専門分野の知識を持った人員、設備があると認められなければ認定されないため、乱立していた認証機関がかなり淘汰されました。EAC認証の認定を得るに至らなかった認証機関が、認証制度に関する知識を生かして仲介業者として認証を請け負っている例もあります。ロシア語を解さない外国の製造者が、正規の認定認証機関なのか、仲介業者なのかを見分けるのはかなり難しいと言わざるを得ません。

日本企業が日本国内でEAC認証を検討する際に、時間を短縮する、情報収集をするなど仲介業者、代行業者の役割を理解したうえで利用するのは大いに結構だと思われます(特に、欧州系ラボで専門技術者と規格について話ができる場合、有用であると思います)が、認証機関を装った業者には注意が必要です。

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9.最後に

筆者はこの記事を作成するにあたって、ウラジオストクの認定認証機関<プリモールスキィ・ツェントル・セルティフィカツィ>の副所長に直接インタビューをし、モスクワにある認証機関にも各種の問い合わせを行いました。特に具体的な依頼があるわけでもないのに、快く質問に応じてくれ、様々な情報を提供してくれました(その後、明らかな仲介業者に電話をして問い合わせたところ「製品を持ってこないとわからないわ」と言われたのと比べると雲泥の差でした)。

膨大な量の法律を読み、専門書に目を通し、実際に生の声を聞くことで得られた「ユーラシア経済連合の認証制度」ですが、少しでも対ロビジネスを行っている、又は行う予定の製造業者や輸出企業の方々の役に立てればと思っています。

ご意見、ご感想、ご質問等ございましたら、筆者(サイト管理人)までご連絡ください。

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参考資料

  • БоларевБ.П Стандартизация, метрология, подтверждение соответствия: Учеб.пособие. – М.: ИФРА-М, 2013. – 254 с. – (Высшее образование)
  • Федеральный закон «О техническом регулировании» от 27.12.2002 №184-ФЗ
  • Соглашение о единых принципах и правилах технического регулирования в Республике Беларусь, Республике Казахстан и Российской Федерации от 18 ноября 2010 года
  • Постановление Правительства РФ от 01.12.2009 N 982 (ред. от 20.10.2014) "Об утверждении единого перечня продукции, подлежащей обязательной сертификации, и единого перечня продукции, подтверждение соответствия, которой осуществляется в форме принятия декларации о соответствии"
  • Межгосударственный совет по стандартизации, метрологии и сертификации http://www.easc.org.by/
  • Положение о порядке применения типовых схем оценки (подтверждения) соответствия требованиям технических регламентов Таможенного союза (утверждено Решением Комиссии Таможенного союза от 7 апреля 2011 года № 621 )

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