2018年7月30日
法改正による適合宣言書登録手続きの厳格化
2018年7月1日に2018年3月20日付ユーラシア経済委員会協議会決議No.41『ユーラシア経済連合技術規則の要求事項への製品の適合宣言書の登録、効力の停止、再開及び廃止手順について』が施行され、連邦認定機関(Rosaccreditation) が今後の登録手続きについて自身のサイトにて注意喚起をしています。
決議No.41施行に伴う主な変更点を5つあげており、以下のようにまとめられます。
1.決議No.41の施行の時から、2013年4月9日ユーラシア経済委員会協議会決議No.76『関税同盟技術規則の要求事項への製品の適合宣言書登録に関する規定の承認について』(以下、決議No.76)は失効。ただし、決議No.41第2項に従い、決議No.41施行の日までに登録されたユーラシア経済連合(関税同盟)技術規則の要求事項への適合宣言書(以下、適合宣言書)は、その有効期限満了の日まで有効。
2.適合宣言書のロシア国内での具体的な登録申請手続きの方法は、2012年2月21日付ロシア経済発展省命令No.76『適合宣言書の登録手順及び登録済み適合宣言書の統一登録簿の形成及び管理、当該登録簿に含まれる情報の提示手順の承認について』によって定められており、この法令はNo.41施行後も有効であるため、適合宣言書及び登録のために宣言書に添付される文書の提出の様式に対する要求事項は変更なく、以前有効であった要求事項が維持されている。
EEU諸国の国内法令において、加盟国の領土内で加盟国の国民の消費者保護を同等レベルで可能にする規定を定めることが提案されている。遠隔での消費者との紛争解決や契約条件や契約締結手順、契約書に記載される文章や情報の文字の大きさに対する要求事項の設定の可能性も規定されることになるだろう。そのほか、EEU諸国では、購入者に製品に関する完全かつ信頼に足る情報を提供しなかった販売者に負わせる責任を定める。
3.適合宣言書登録申請書に含まれるべき情報の内容の具体化。
4.添付資料なしで適合宣言書に加えることができる変更の具体的な内容
5.適合宣言書に添付される製品の適合性を証明するエビデンス提出の徹底。エビデンスは申請者によって原本証明(署名&押印)されたコピーの形で提出されなければならず、統一登録簿(データベース)登録時にスキャンコピーを添付しなければ登録ができない。
上記5点の中で、一番インパクトのあるものは、5のエビデンス提出です。これにあたって、Rosaccreditationでは、2018年9月1日から、試験レポートが実在するかを自動的にチェックするプロセスが追加されたため、「実際に試験をせずに試験レポート番号だけを記入する」ということが実質不可能になります。
適合宣言書の記載内容の真偽に対する責任は申請者(外国メーカーの場合は、現地法人がない限りメーカー自身が申請者になることができないので、基本的に荷受先が申請者になります)が負うことになっており、違反した場合は行政罰(罰金、業務停止等)の対象になります。
日本メーカー自身がこの罰則の対象になることはありませんが、「要求事項に適合しているが必要な手続きを踏まなかったことが判明した」場合と、「必要な手続きを踏まずに、要求事項にも適合していないことが判明した」場合では大きな違いがあります。メーカーのブランドイメージに関わりますので、今一度自社製品が該当する技術規則の要求事項に適合しているかどうかをご確認ください。技術規則の要求事項の解釈に疑問がある場合は、実際にサンプル試験をすることを弊所ではお勧めしています。弊所では、下記の対応が可能ですので、ご相談ください。
- 登録済みの適合宣言書の内容調査(Rosaccreditationのデータベースで御社製品の登録状況を確認します)
- サンプル試験の実施代行
- 技術規則の日本語訳の提供
- その他適合宣言書運用の最適化に関する提案等のコンサルティング
2018年に入ってから、ユーラシア経済連合では技術規制関連の厳格化の流れが起きています。2018年4月18日付ユーラシア経済委員会理事会決議No.44「適合評価の典型スキームについて」によって、これまでの典型スキームに対して大幅な改正がされ、これに伴い今後各技術規則も改正される流れが起きると予想されます。決議No.44に関する情報は追って公開させていただきます。
情報ソース:ロシア連邦認定機関公式サイト(2018年6月26日発表)